音楽療法

 

魂から奏でる,心理療法としての音楽療法入門,表紙写真

魂から奏でる
――心理療法としての音楽療法入門 

ハンス=ヘルムート・デッカー=フォイクト著/ 加藤美知子訳/四六判上製496頁
税込3675円/ISBN4-89007-126-1 C0073

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「一九九一年に本書が出版されたときには、本書の目的は「一般の読者に」音楽療法を紹介することにあった。芸術という特殊な形態を備えた心理療法の一つとしての音楽療法、そして医学における音楽の役割を明らかにしていくためであった。

本書は、さまざまな分野の保健衛生職に携わる人たちから大いなる興味をもって歓迎された。同時に怒りの声もあった。ドイツの科学は、音楽的心理療法と医学における音楽とのあいだに、厳密な境界線を設けているからだ。(中略)

本書はこのような境界を越えて、音楽治療医学の双方に統合し、発展させていくといいう意図をもって書かれた。」
日本語版への序文 その1より ハンス=ヘルムート・デッカー=フォイク

検索語:心理学、精神医学、 臨床心理学、芸術療法、心理療法、音楽療法、精神分析、治療、臨床、一般向け

 

魂から奏でる――心理療法としての音楽療法入門 

もくじ 

日本語版への序文 その1 
日本語版への序文 その2 

スプーンを持った天使と逆立ちした樅の木について―謝辞 

まえがき 

序論(E・ヴァイマン) 
―― 音楽療法の「治療環境」 
―― 初歩的な質問と答え 
―― 自分を知るための音楽療法 

第一部 音楽聴取―音楽療法の基礎 

 「日常に必要な音楽」と「非常事態に対処する音楽」 

音楽―世界に通じる耳 

分裂に対抗するエネルギーとしての音楽 

耳―世界への扉 

世間一般の表現を「検証」する 

刺激の影響――長引けば長引くほど反応が鈍くなるということ 

研究という一面について

音楽の構成要素と音の特質(パラメーター)および聴取者に及ぼしうる可能性 
――音の特質とそれが人に及ぼす心理 ― 身体的な影響 

音楽のひとつのセット――向作業的な音楽 
――かの有名な六度とそのほか 
――「内に及ぼす」影響 
――――……2、3、4という歌
――――歌声の響くところに人は腰を降ろす? 
――――誰にでもリズムの才能がある
――向作業的な音楽の危険性 
――――音楽に対する保護法について
――「いつも雑音が入ってくるから」 
――音量のほかにまだ何があるのか? 

音楽のもうひとつのセット―向栄養的な音楽 
――私たちへの影響、私たちのなかで起こる作用 
――内に及ぼす影響はどのように作用するのか?  
――無害だからいつも音楽を使う? 

 あの人の話を聞いていると眠くなる 

入眠のための音楽―眠りにおける音楽 

音楽の作用における例外―人によって強くなったり弱くなったりするということ 
――蓼食う虫も好き好き――あるいは向栄養的ではなく、向作業的なものを 
――「これがベルリンの空気だ」こそ私の入眠用の音楽だ 

音楽心理学と音楽療法、あるいは集団に対する個人の優位 
――典型的とは―誰にも音楽に対する「自分の」反応パターンがある 

従来の音楽的な枠を超えて 

機能的な音楽の治療的応用 
――末期患者と未熟児のための音楽療法 

心理療法としての音楽療法の発達心理学的および精神分析的な観点 

補足1 偉大な言葉 ― つまらない言葉―心理学と精神分析の概念 
――無意識とそのほかの知っておくべきことについて 
――多様性のなかの共通性―基本的なカテゴリー 
――欲動とそのほかのシステムについて 
――自我、イド、超自我について 
――精神分析的な音楽療法における精神分析的な基盤 
――――例外として「……であればあるほど」

治療の適性、あるいは「私はどの方法を選ぶ?」 

心理療法的な音楽療法の応用領域 
――いくつかの風変わりな応用領域 

第二部 音楽聴取から対話まで―心理療法としての受容的音楽療法 

脅威から楽しみまで―過去の音楽聴取の意味づけ 
――楽しみから生命の維持まで 
――外の世界の最初の音楽 
――脅威としての音 
――脅威を快適なものに変える 
――快適なものから喜びへ 

「私の」音楽 
――交通事故にあったB夫人の例 
――――事故
――――B夫人―機能的な音楽が適用された症例
――――家族への援助――すべての人に対する援助
――――「大泣きをしながら別れを告げる……」
――――鎮静剤よりも暖房機の音
――――心理療法の症例としてのB夫人
――――精神分析の症例としてのB夫人
――――気づきのなかにある真実

心理療法としての受容的音楽療法の技法 
――感じること、思考すること、思い出すことの方向性 
――――状況を思い出すということは時間を思い出すこと
――――状況を思い出すということは空間や場所を思い出すこと
――――音楽を聴くことは人を思い出すこと
――――りんどうは青く、青く、青く咲いている……
――――ベートーベンの熱狂的なファンのティーンエージャー
――――何も思い出さない音楽について
――――私が拒否する音楽に対する愛着

心理療法としての受容的音楽療法の適用領域 

補足2 人が人に対して抱くイメージ 
――人間学 
――人のイメージ ― 神のイメージ 
――逃避のチャンスとしての音楽療法? 
――専門化のデメリット 
――専門化のメリット 

すべての人に内在するエネルギー 
――第一のエネルギー―「自己回転」あるいは「私は自分で自分の面倒を見る」 
――――光があるところにはまた……
――――分裂病質の特徴
――――「自分を守るための円」
――――過剰な分裂病質の根源
――――心を「かき乱す」音楽
――――音楽の分裂病質的な要素
――第二のエネルギー―すべてがほかの人のために動いている、あるいは「私があなたの世話をする」 
――――光に対する影の部分
――――過剰な抑うつ的なエネルギーの根源
――――人とのぬくもりを伝える音楽
――――教会音楽は存在しない、しかし教会と祈りのための音楽はある
――第三のエネルギー―秩序が必要である、あるいは「私はいつも同じ状態を心がけている」
――――いつも同じ状態でないと心配である
――――そして一方では? 
――――過剰な強迫的なエネルギーの根源
――――秩序をもたらす音楽
――――リズム ― 演奏 ― 空間
――――私たちを安定に導く二拍子について
――第四のエネルギー、あるいは「私は常に新しいものを追い求める」 
――――影の部分
――――セッション場面の例
――――過剰にヒステリックなエネルギーの根源
――――ヒステリックなエネルギーの表現としての音楽
――――「理屈に合わない音楽」についてもう少し
――――三拍子は私たちを空に向かわせる
――――鏡としての音楽、「スクリーン」としての音楽
――――ヒステリックなもの、カオス、そして音楽における蝶々の羽根の動きの影響について
――――音楽療法士とほかの心理療法士におけるヒステリー的なもの

狐のレナルド、巨人のゴロ、じゃがいも警官とマルゲリータについて―人のタイプの分類 
――なぜ人をタイプに分類するのか?  
――さらに詳細に 
――こういう人はこれこれだという考え方 
――私たちに内在するエネルギーの独自の変化 
――音楽も一緒に変化する 
――環境の変化と音楽の変化について 

魂のエネルギーに影響を与えるもの 

第三部 即興における演奏と音楽聴取―心理療法としての活動的音楽療法 

――音楽的な即興における「魂の表現」 
――即興演奏―素顔の演奏 

つまること、止まらないことについて、あるいは私たちの心のエネルギーのコンタクト障害とその音楽的な表現 
――第一の障害―用心深さ、あるいは取り入れ 
――第二の障害―操作と投影 
――第三の障害―つまった状態、あるいは反転 
――第四の障害―止まらないこと、あるいは的を外すこと 
――第五の障害―適応、あるいは合流 
――人間のタイプ=演奏のタイプ? 
 
――感じたことを言葉で表現する 
――「全く未知の」ものを即興で表現する 

即興における影の演奏 
――人の内的な「故郷」と「はるかなるものへの憧れ」について 
――影の演奏は投影の演奏である 
――退行というテーマ 
――私たちは自分の「タイプの」音楽だけでなく、影の部分の音楽も聴く 

楽器のパワー、あるいは私が興味をもつ楽器について 
――シンボルとは何か?  
――シンボルをシンボルたらしめるもの 
――音楽的な即興とはシンボルを演奏するということ 
――楽器とその「アピール性」 
――演奏者にとっての楽器の意味について 
――シンボルとしての楽器演奏 

演奏者と演奏の関係について 
――音楽にとって楽器があるように 
――楽器のなかにあるすべて ― 人間のなかにあるすべて 

魂から歌う―人間にとっての声の意味と音楽療法でそれを応用することについて 
――声こそ最大の「アピール性」を備えている 
――歌による高校の卒業試験 
――母の胎内では「OK」でも、外の世界では? 
――小さな声は上品であるし、それに?  
――村や町で…… 
――笑い話を用いた実験 
――「みんな、ちょっと馬鹿みたいよ……」集団音楽療法における声の即興 
――「副木があてられた」声 

声を使った即興の技法 

初期の対話―音楽を演奏すること、聴くこと、人の発達はどう関係するのか?(E・ヴァイマン)   
――意志伝達の早期の形態 
――体験を言葉にする 
――体験は動作に現れる 
――制限と拡大 

「遊びは行動である」―楽器の扱いについて(E・ヴァイマン) 

新しい演奏空間―音楽療法の即興について(E・ヴァイマン) 
――私たちは音に囲まれている 
――何のために即興をするのか? 
――音楽療法室の「未知の世界」 
――単に遊ぶだけ? 
――……そしてセラピストは何をするのか?  
――即興にはどのような効果があるのか? 
 
――心のなかの出来事のイメージ 

理論をもう一度。あるいは「レンズの前に引き寄せた」蝶々―音楽療法のリサーチにおける科学的理論的な問題について(E・ヴァイマン) 
――何が「科学的」なのか? 
――真実を語る 
――音楽療法の研究 
――――質的な方法
――――臨床実践における研究

付録 

音楽療法に関する情報とヒント 
――個人音楽療法 
――個人開業の音楽療法 
――集団音楽療法 
――音楽療法的な自己体験 

関連機関の住所 

参考文献・関連書籍 

訳者あとがき 

解説 

人名索引 
事項索引 

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