音楽療法
響きの器多田・フォン・トゥビッケル 著 /A5判変型上製 218頁
税込2100円 / ISBN4-89007-118-0 C0073〔ご注文はこちら〕〔出版案内表紙へ戻る〕
〔音楽療法関連書籍へ戻る〕「本書には、多田さんの経験のなかから、いくつもの印象的な実例が紹介されている。ダウン症や精神分裂病、うつ病の患者さんたち。自分の気持ちが分からない、感情を表すのが怖いという知的な女性、自閉的で抑うつ的な学者、自分に向き合いたい、自己を探究したいという人々もいれば、学生の自己体験のケースもある。(中略)
いずれの場合にも、多田さんはきわめて細やかでデリケートな配慮のもと、自らつねに何ものかに触発されつつ、音楽をそれぞれの抱える問題に即応させていく。
そして、「今、音が生まれている!」と驚きながら、クライエントに向き合い、寄り添い、対抗し、待ち、流れ、共存し、あらたな地点へと赴いて行くのである。本書で私たちはそのきわめてリアルな記述に出会うことができる。(中略)
この本は、一人の日本人女性が単身ドイツに渡り、そこで限りなく誠実でやさしい夫と出会い、森のなかのお城に住むようになったシンデレラ物語である。
あるいは、西洋音楽の枠のなかで挫折し、即興音楽に自分の可能性発見して治療の道を選び、クライエントとともに成長する一人のセラピストの軌跡として読むこともできる。
さらに、ふたたび音楽療法の議論に戻るなら、療法士養成教育における「感性化プロセス」の重要性を、多田さんというセラピストの在り方をとおして認識しなおすことも可能であろう。」 解説より 阪上正巳
検索語:音楽治療、音楽療法、症例、心理療法、芸術療法、医学、医療、芸術、知的障害者、精神障害者、精神遅滞、ケース、事例、自伝、ドイツ、日本、比較文化論
響きの器
もくじ
序 遊びの心
楽──太鼓
音──洞窟からの光
破 Leben そして 音・楽
子どもたちとの音遊び
音楽療法への道
耳を澄ます
分かれ道
日本文化との出会い
空間の変化と均衡感覚
「枠」と「間」
共感と反感――実例/実例
吐く息と引く息――実例
東と西の「間」声の即興
音への感覚をさぐる
天使の力――実例
身体がひらかれる――実例
音が人にわたされるとき――実例
静から動へ
「体」と「用」
医学と音楽の「間」PAUSE 休憩
私は在る
房――RAUM
RAUM1--多田医院の病室
RAUM2--ひいらぎ教室
RAUM3--障害者施設の音楽室
RAUM4--ハウス・ハーメルン(HAUS HAMEREN)
RAUM5--蕾の絵母
何かをすること
そのままを感じる
美しさ
母からの便り
母への便り、房代より
天国へ行った母さんへ回り道
結婚
赤い糸響きの器
急 生命との対話
生命との対話
命
木々との対話
障害を持った人々と
育む
赤穂の塩
森の四季
アルプスのオーケストラ夢の房
新しい大和のRAUM
あとがき
解説 国立精神・神経センター武蔵病院精神科医長 阪上正巳
著者略歴
武蔵野音楽大学声楽科卒業後、東京、宮崎にて、障害を持った人々を交えた、子どもと母親との音楽活動に携わる。
1990年、ドイツWitten-Herdecke大学医学部音楽治療科修士過程卒業。Musikterapeutin(音楽治療家/療法士)取得。Munster、Alexianer Krankenhaus(精神病院)に勤務し、分裂病、躁鬱病、ダウン症などの治療にあたる。
現在はWestfalische/Wilhelms-Universitat Munster(ミュンスター国立大学)音楽療法科の講師をつとめ、自宅においては一般の人々を対象に、Anna-Katharinen Karthausにて、知的・精神障害をもつ人々のための音楽療法に従事。「空間の体験」、「声」をテーマに、即興ワークショップ等を、ドイツ、日本で実施している。
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