アーユルヴェーダ
「エビデンス」と「直観」の統合
帯津三敬病院理事長
帯津良一
いまや、わたくしたちは「統合医学」(Integrative Medicine)の時代を迎えようとしています。統合とは単なる足し算のことではなく、積分(Integral)のことです。 積分とは「西洋医学」(Conventional Medicine)と「代替療法」(Alternative Medicine)の双方をいったんばらばらにして、集め直してまったく新しい「体系医学」を築くことです。並大抵のことではありません。すべての当事者に、それ相当の覚悟が要求されます。身の引き締まる思いです。
こうした時期に、大著『アーユルヴェーダ ≪ススルタ≫大医典』が刊行されることは、きわめて意義深いことです。古代インド人の叡智と思索の集大成ともいうべき本書によって、彼らが、いかにエビデンスと直観を統合していったかをしっかり学んでみたいと思います。統合医学の時代の夜明け前に、身を引き締めて読むべき好著であると確信しています。