アーユルヴェーダ   

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アーユルヴェーダ

 

科学界と実業界が、新薬を求めて、3000年の歴史を有する医学体系を、先を争うようにひも解いている。」
Padma.TV
"Ayurveda"
Nature.2005.Vol436.28.July.p486

「先行する時代からの、拠り所とすべき知識の恩恵が何もない、人類の歴史の黎明期である点を考慮するならば、解剖学、生理病理学、治療戦略に関する[ススルタの]考えは、類い稀なる輝きを放つ。[ススルタによる]泌尿器疾患の様々な様相についての指摘は、今日の泌尿器科学の原則に照らしても、うなずけることが多いのである。」
Das.S
"Susruta, the pioneer urologist of antiquity"
The Journal of Urology.2001.Vol165.No5.p1405-1408 

「チャラカ・サンヒターやススルタ・サンヒターなどの医学文献では、多種多様な疾患に対する1千種以上の植物の使用法が記述されている。[中略] Artemisia annuaからマラリア治療用のアルテミシニンが発見されたことから、薬草による医学への関心が再燃した。古代インドの文献を調査すれば、新薬を探すにあたっての示唆が与えられ、豊かな収穫がもたらされるだろう。」
R.Sehgalほか
"Looking for drugs in ancient texts"
Nature.1994.Vol372.10.November.p124

「アーユルヴェーダ医学における『四体液』を別の観点から眺めると、これは、エネルギー保存の法則、すなわち、エネルギーは生成されもせず、消滅もせず、ある形態から別の形態へと変化するだけであるということを、古代インド人なりに言い表したものだといえる。」
Concon.AA
"Ayurvedic medicine"
American Journal of Chinese Medicine.1983.Vol11.No1-4.p165-166

「……ススルタは、腕利きの外科医と言い伝えられているいっぽう、当時のあらゆる医学知識にも精通していた。さらに、神々とは人間が死んだ後に関わってくる存在に過ぎず、我々の日々の営みを助けてくれることは全くといってないと理解し、それを説いたのが、他でもないススルタであった。このような考え方は、偏見に満ちた強い反発を招いたに違いないが、当時の思想家から受容されるにいたった。そして、この受容があったことでススルタは、マヌ法典により厳しく禁じられていた死体解剖をはじめて実施したのだった。ススルタにとって、「実践の伴わない理論は、翼のない鳥のようなもの」であったからだ。」
Pagella.P
"Il Sucruta Samhita: un capitolo originale della chirurgia o una interdipendenza di valori nella storia della medicina?"
Annali dell'Ospedale Maria Vittoria di Torino.1977.Vol20.No7-12.p354-363

「数千年前に遡るインドのアーユルヴェーダ医学は、生物学と一体となった宗教であり、哲学であり、人間学であり、経験的治療法である。ここに取り上げた精神医学の例では、精神障害に関する記述の綿密さと視野の広さ、精神障害への『全人的医療』によるアプローチ、そしてそれに対応する『多元的な』治療から、ヨーロッパの医師も感銘を受けるのである。」
Scharfetter.C
"Ayurveda"
Schweizerische Medizinische Wochenschrift.1976.Vol106.No17.p565-572

「古代インドの医学が、古代ギリシャ、中世アラビアの医師たちへ影響を及ぼしたことに疑う余地はない。さらに、彼らを通じ、ヨーロッパの医学の理論と実践も、その影響を被ったのである。」
Blinov.GM
"Ocherk po istorii meditsiny drevnei Indii"
Sovetskoe Zdravookhranenie.1974.No11.p77-82

「ヒポクラテス全集などにみられる4体液説(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)はギリシャ医学の最も著名な病理観である。この4体液の中には「風」がないためにアユルヴェーダの病理観との比較は難しいが、同じギリシャの医学でもプラトンの『ディマイオス』の中に記された以下の説はアユルヴェーダ、ことに『スシュルタ・サンヒター』の説に極めて類似している。」
遠藤次郎、中村輝子
「アユルヴェーダのトリドーシャ説と仏教医学の四大不調説の比較検討」
科学史研究U.1995.Vol34.p1-9

「古代インドは人類文明発祥の地と云われ、芸術、科学の分野に独自の発達をとげたものとされているが、医学についても同様で、Star-St.(注)の起源は古代インドであり、それがペルシア、アラビアを経てギリシアに伝達していったものと結論することができるであろう。」
注:Star-St.――白内障摘出術の母体をなした術式であるStar-Stich(針刺術)のこと
鈴木宣民
「白内障手術の起源」
日本眼科学会誌.1980.Vol84.No3.p183-190

「骨の損傷を扱った本書の各章に目を通したならば、ススルタの手による極めて体系的かつ広範な研究に対し、ポジティブな見解をとらざるをえない。」
Deshpande.P.J ほか
"Contribution of Susruta to the fundamentals of orthopaedic surgery"
Indian Journal of History of Science.1970.Vol5.No1.p13-35

「ススルタによる古えの行ないは、抗生物質と化学療法の時代においてもなお、受け継がれている。ススルタは、手術前に清潔さを保つことにより、発熱などの合併症の発生が最小限に抑えられると、明らかに心得ていたのである。」
Bagchi AK
"Susruta: a man of history and science"
International Surgery.section1.1968.Vol50.No5.p403-407

妊娠の徴候と症状、分娩の3段階、産褥期の母親のケアについて論じ、産科学の最初の教科書を著わしたのがススルタである。卵管妊娠、堕胎、流産、およびその他の婦人科疾患に関する記述のほか、出産時の異常胎位の原因、およびその徴候と症状についても言及されている。ススルタによる詳細な記述は、3千年前と変わらず今日でもなお、その的確さを失っていない。」
Lenora.RB
"Ayurveda Medicine: The strange and fascinating tale of the art and science of Indian medicine"
Clinical Pediatrics.1968.Vol7.No4.p239-242

古代インドの医師たちには、1000種類以上の薬草についての知識があった。それらのなかには、Rauwolifia serpentinaなど、それなしでは高血圧症治療が今でも考えられないような、重要な薬物も含まれている。すなわち、知らぬ者のないレゼルピン製剤や、その他の多数のアルカロイドが、Rauwolifia serpentinaの根から今日でも抽出されているのである。そして、心臓血管系疾患に際し、仙痛、病的不安、その他の精神的トラブルに対する薬剤として古代インドの医師たちが用いたのが、この根の粉末であった。この薬には、「悲しげな者への薬」との名がつけられていたのだが、そのような捉え方も、今日、精神疾患治療においてレゼルピンが、その鎮静作用によって有する重要性を考えるならば、きわめて適切なものだと言える。じっさい、精神疾患への「薬物療法の時代」は、他でもないレゼルピンの使用とともに、幕を開けたのだった。
   古代インドの医師たちはまた、多数の鉱物製剤――純金属、様々な塩類――も用いていた。
   さらに、食養生の遵守、満月の晩の散歩、若い女性との交わり、恋愛歌、庭園を訪れることや美しい風景を鑑賞しながらの旅行、首の周りに花輪をかけることなどが、健康維持のために推奨されていたが、それらはさらに、[心身を]強壮にするための手段であったとも考えられる。読者は笑うかもしれないが、これらはすべて、素朴と呼ぶには程遠いものであって、深い意味を有しているのである。」
Blinov.GM
"Ocherk po istorii meditsiny drevnei Indii"
Sovetskoe Zdravookhranenie.1974.No11.p77-82