アーユルヴェーダ  

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アーユルヴェーダ

その概要

千葉大学名誉教授
鈴木正夫

 

  アーユルヴェーダは釈迦より以前にインドで栄えた文化の所産である。これは紀元前1012世紀にできたものである。

アーユルヴェーダには、8つの方面がある。第1は異物学すなわち外科であり、第2は鎖骨上部の疾患すなわち眼、鼻、耳、咽頭などの病気、第3は内科を主としたもの、第4は魔力による疾患、第5は小児の学問、第6が薬物学、その次が延命学、最後が矯正学である。

これらが2つの原典で、現在に伝えられている。そのうち1つは内科のものであり、ススルタ・サンヒターが外科のものである。アーユルヴェーダでは人間体は7つの基礎要素(ダートウス)すなわち乳糜リンパ、血液、肉、脂肪、骨、骨髄、精液という順序で変ってゆき、乳糜リンパは食物が消化されて乳糜になり、乳糜がさらに精製されたものとされている。

これは身体中の導管を通じて、補充している重要なものであり、これから血液ができる。この血液液体ができる時に次の要素の未熟なものができるが、この時の排泄物として胆汁ができ、血液から肉になる時に未熟な肉となるが、やはりこの時排泄物として精液ができるというように、未熟なものが成熟する時に、このような液の排泄があるとされている。

1つの要素が次に変るのに約5日かかるとし、最初の食物から精液になるまでにほぼ1ヵ月間を要するといっている。

 

  次に3つの体液すなわち、Vaya(風)、Pitta(胆汁)、Kapha(粘液)が、それぞれ導管によって身体中を流通していて、疾病のもとをなさない時には、Vayaは神経作用、Pittaは代謝、Kaphaは湿潤あるいは鎮静作用を営むものであり、その協調によって正常の生理が保たれている。

ところが、これらが失調することにより、すべての疾病が現われるとしている。そして血液も失調して疾病を起こすことがあり、4つの体液(Dosha)が個々に悪化することもあり、いくつかが同調して悪化することもある。

それらの悪化したDoshaを鎮静、緩和することによって疾患の治療がなり立つわけである。いろいろな薬や食物は、それぞれのDoshaを鎮静したり、悪化したりする力があるとされている。VayuPittaKaphaともにそれぞれ身体の5ヶ所に存在すると説明されている。

「古代インド医学(Ayurveda)における肛門外科」(日本大腸肛門病学会雑誌.25巻1号1972年.p1-2)より抜粋

原文の”Ayurveda”、 ”Sushruta Samhita”はカタカナに改めました。また、ローマ字の特殊記号は省略しているほか、画面上で読みやすいように改行を新たに加えてあります。