ターミナルケア死生観関連書籍
がん・ガン・癌「第二のがん」の時代からのメッセージ国立西埼玉中央病院外科医長 松岡 寿夫 著 / 四六判並製 228頁 /
税込1365円 / ISBN4-89007-114-8 C0036〔ご注文はこちら〕〔出版案内表紙へ戻る〕
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「三十数年間、がんの患者さんを治療し、多くの患者さんたちのさまざまな生きかたや死に接して、多くのメッセージを受け取りました。また、がん患者さんを取り囲む優しい人々の存在も、私の心の中に強く残りました。
人間は人と接する中で、相手の人々から多くのことがらを教えて貰うものです。とくに、病に倒れた人々の会話には「ウソ」が入りません。人間の赤裸な感情が渦を巻いて、接する人々の心の中に押し寄せます。そこには冬の夜空に輝く星のような輝きがあり、透明な湖に吸い込まれ、落ち込むような悲哀があり、稜線に昇るほのぼのとした旭のような愛があると思いました。」 序文より
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もくじ
はじめに
第一章 死を看とる
「がん・がん・がん」
がんに「がん・がん・がん」と言われ、落ち込む人もいます。弱い人間として当然のことでしょう。「私はもう死刑の宣告を受けたようだ」――それはがんをあまりにも分かっていない人の言うことです。
「タンポポ」
「最後の化学療法」
「なみだ」
ときどき患者さんは、神隠しではありませんが、黙って急に姿を消してしまうことがあります。それはたいていがんが再発したときが多いようです。とくに乳がんの患者さんにそれがよく見られます。
「二週間」
「二つ星」
「犬の階段」
「屋根の上のヴァイオリン弾き」
「お顔」
「アールエッチ・マイナス」
解決策は一つしかありませんでした。それは自己輸血をすることでした。(中略) 私は大きなジレンマに陥りました。がん患者さんから時間をかけて採血することは許されることだろうかということでした。
「手術ができない」
第二章 生きる
「異国の人」
「お花畑」
「街角で……」
最後に息を引き取られたとき、愛する一人娘さんは、
「先生。早くアイバンクに連絡して」
と大声を言いながら泣き崩れました。
そのとき、両方の「まなこ」が彼女の意思で未来に向かって歩み始めたように、私は思いました。「お茶の花」
「米寿を前に」
「自動車の運転免許証だって……」
「ブラック・ボックス」
「息」
「長い入院」
私が外科医になった頃とくらべると、手術する病気の比率も、手術手技も変わりました。それに伴って、術後の外科医の悩みも変わってきました。(中略)
悪いことに、逆に胃を切除するということは病名を言わなくても胃がんであるということが自然に分かってしまうわけで、そういう時代になったということです。
「テディ・ベア」
「決断」
「走る」
「二十八年」
「目がまわる」
第三章 癒す
「青い空」
「十年目」
「杖」
がんとの闘いに勝って、もう再発しないと確信がもてるようになり、これから自分の思うがまま好きに人生を歩んで行こうと思ったとたんに、年齢からくる心筋梗塞や脳梗塞などの、いわゆる成人病が起こってくるのです。そして、自らの不運に涙を流した人々も少なくありませんでした。 「時間を下さい」
「ワラをもつかむ……」
「サンマの刺身」
「真夏の夜の夢」
「サクランボ」あとがき
医療の世界では一方的な権威主義の姿が見え隠れします。医療を受ける市民はそうさせてはいけないと思います。充分な情報を共有し、医療の現場では受ける側と行う側との、お互いの人間性のぶつかり合いがあり、共感・共苦があって欲しいと思います。