機能水 実用ハンドブック

ウォーターサイエンス研究会(編執筆者はこちら) / A4変型判上製函入374頁 
税込18,900円 / ISBN4-89007-162-8 C3540

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水の機能はどこまで進化したか!
機能水の技術利用と応用分野を総括!
環境・生物・産業と調和する機能水とは!
注目される「溶存水素水」の効果
−−「高濃度溶存水素水による抗ガン効果」「活性酸素抑制効果」にも言及!

 

目次・内容要旨

発刊にあたって
序章 機能水研究への期待

第1章 機能水の構造とメカニズム

高温・高圧下における水の構造と物性
 ―分子モデル・分極モデル導入の必要性―
水の構造と物性についてのこれまでの研究の成果を解説しつつ、高温・高圧状態における水の構造と物性について得られた知見を紹介したうえで「複数種類の分子モデル」や「分極モデル」導入の必須性を説く。

水の平均的構造と動的構造
 ―分子動力学シミュレーションからみた水の液体構造―
分子動力学法にもとづく水のモデルを説明し、モデルにもとづくシミュレーションによって水の熱力学量と輸送係数の異常がどのように再現されるかを例示。さらに分子動力学シミュレーションによって得られた水の平均的構造、動的構造について解説。

交流電場を利用した新しい水溶液分析
様々な溶液における測定結果を紹介。電解質溶液の濃度の増大により水分子とイオンの作る水和圏が拡がり、陰・陽イオンを骨格とした三次元高次構造が発生することを報告。NMR分析機器との違いを解説し、新たな水の構造変化の研究手段としての可能性を示唆。

水溶液に対する磁場効果
コロイド分散系、原子間力顕微鏡、蛍光プローブを用い、単純かつ精密に制御された実験系において水溶液系への磁場効果、変動磁場と静磁場での水溶液への効果の違い、多孔質粒子へのイオン吸着速度や多孔質膜中のイオン透過速度への磁場の影響に関して検討した結果を紹介。

磁気処理水の物性変化のメカニズム
 ―蒸発速度からみた磁気処理水の物理的特性―
磁気処理水の基礎的研究から、攪拌磁気処理、静水磁気処理と蒸発速度の関係、蒸発速度に対する磁場の強さの影響、溶存酸素の影響について実験を紹介。磁気処理水の物性変化のメカニズムを考察。

機能水の分析方法と問題点
X線・中性子線回折測定、熱力学的測定、NMRスペクトル測定、中性子散乱測定、振動分光測定、分子動力学法など様々な測定・シミュレーション手法によって得られる情報のタイムスケールと水の構造について図表化。

水とタンパク質の相互作用のメカニズム
 ―疎水クラスターによるタンパク質の構造及び機能の調節―
疎水相互作用によって生成される疎水クラスターがタンパク質内にどのように形成されているか、タンパク質の構造や機能がどのように疎水クラスターによって調節されるかについて豊富な研究事例を紹介。水とタンパク質の相互作用のメカニズムを解説。

機能水の特性評価方法
 ―機能水の物理化学的な特性評価と人工膜界面における挙動―
分光法および表面張力測定による機能水の特性評価方法を紹介しつつ、単層構造のリポソームを用いた研究において機能水の表面張力の挙動と人工膜界面における挙動が良く一致することを報告。今後の機能水研究における実験条件、実験装置などの画一化の重要性を指摘。

エージング指標による水の評価
クラスターの大小および分布による水の評価方法について解説。不安定水溶液が時間にともない安定水溶液に変化するエージング(老化)現象からORP-pHを基に定量的にエージングを評価する指標[AI]を水の新たな評価方法として提唱。温泉水を用いた評価の試験例を紹介。

水の構造設計
 ―17O-NMR化学シフト法による水の液体構造の遷移の研究―
過去における水の液体構造理論と構造モデルの発展を要約・解説。分子集合体である液体として水の構造の理解を求め、水の構造設計における17O-NMR化学シフト法の有効性を示唆。

おいしい水、健康によい水の評価基準と4つの供給法
水温、化学成分、臭気、分子レベルから「おいしい水」とは何かを解説。健康に良い水とは何かを化学成分の観点から考察。脳卒中死亡率と水質特性、WHOの飲料水ガイドラインを紹介。考えうる飲み水の供給方法を分類し、安全な水の供給について問題を提起。

ファジィ理論とバイオセンサーによる水の評価
あいまいで微妙なものの評価においては、従来の重回帰分析よりもファジィ理論を適用した評価方法の方がすぐれていることを検証。また水のミネラル分の量に対応して起こるアルコール醗酵を検出するバイオセンサーを試作し、名水を審査。バイオセンサーが硬度だけでは表現しきれない水の微妙な差異を識別できる可能性を持つことを報告。

第2章 機能水の作用・効果

弱酸性電解水のサニテーション効果
次亜塩素酸溶液のpHによる殺菌力の変化、温度による殺菌力の変化、各種微生物に対する殺傷効果の違いを検証し、産業的利用における安全性、保存性、経済性、環境への影響について考察。希塩酸を原料とした弱酸性電解水による高度のサニテーション効果の活用を提唱。

酸性電解水と超音波処理水の特性と比較
酸性電解水と超音波処理水の製造原理を解説し、酸性電解水と超音波処理水の持つ機能と性質を溶液の物理化学的な観点から考察。

酸化水の殺菌作用とアルカリ性還元水の洗浄作用
強電解水の生成原理と性質、酸化水が殺菌に伴いどのように還元されるかをプロトン活動度pHと電子活動度peを示すダイアグラムを用いて解説。さらに酸性水の殺菌効果の特徴を、(1)広殺菌スペクトル、(2)瞬時の殺菌、(3)タンパク質による殺菌力の失効を、厳密な電子活性の定義に基づいて説明。副作用を伴わない殺菌効果を持つ酸性水、アルカリ水の使用上のポイントを提示。

イオン化カルシウム水の殺菌・保水効果
動物実験から塩化カルシウム水に比べ、カルシウムイオン水のほうが小腸粘膜からへの直接透過吸収性に優れることを実証。ラットの卵巣による実験結果から体内に取り込まれた後も、塩化カルシウムとイオン化カルシウムでは陰イオンの違いによって生理作用にも違いが生じることを解説。さらにカルシウムイオン水の保湿・保水効果を皮膚、生鮮食品、乾燥食品において検証した結果を紹介。

強電解酸性生成水の殺菌作用機序
強電解酸性生成水(酸性水)の抗酸菌から真菌まで代表的原因菌30種についての殺菌効果を試験、15秒以上の接触で完全な殺菌効果が得られることを報告。強電解酸性水の経時的消毒効果の結果からアルブミンに殺菌効果消失作用があることを確認。さらにビタミンC、ビタミンEの添加実験から過酸化イオンのスカベンジの影響を考察。酸性水の今後の医療における応用を示唆。

電解次亜水の食品衛生管理への応用
 ―電解次亜水の殺菌作用と食中毒防止への実用例―
電解次亜水の物性、生成原理、食中毒原因菌に対する優れた殺菌作用のメカニズムを解説、使用上の利点と使用上について説明。安全かつ有効に学校給食センターの食品衛生管理に応用した事例を紹介。

オゾン水の食品産業への活用
 ―オゾン水を用いた食品工場の洗浄殺菌および食品の洗浄除菌―
オゾン水の特性、殺菌機構、オゾン水に影響を与える因子について解説。オゾン水によるグラム陰性細菌の殺菌効果、納豆菌バクテリオファージの不活性化についての試験結果を紹介。さらに野菜における殺菌効果をデータで検証。食品産業への活用を提唱。

アルカリイオン水の臨床効果
アルカリイオン水飲用の胃腸症状に対する効果を臨床的に検討。便秘や下痢が明らかに改善されたことを確認。さらに動物実験からアルカリイオン水の摂取によって白血球産生活性酸素が低下することを報告。

電解還元水の医学的可能性
 ―電解還元水の活性酸素消去作用とガン細胞の増殖抑制―
電解還元水の活性酸素消去作用の実験結果から電解還元水に含まれる活性酸素消去物質として水中に微量ながら安定して存在する活性水素を仮説。電解還元水のカタラーゼ酵素活性、DNA酸化損傷防止効果、ガン細胞の増殖抑制、形態変化、テロメア短縮、転移能の抑制作用を示す観察を報告。

電解酸性水の医療への応用
電解酸性水おける酸化還元電位、pH、次亜塩素酸濃度の関係を解説し、次亜塩素酸による電解酸性水の殺菌機序を考察。有機物、温度、保存、噴霧使用、吸着といった要因が殺菌作用にどのような影響を及ぼすかを説明。医療応用への留意点を解説。

健康によい水・悪い水
アルカリイオン水の健康への影響とメカニズムについて考察。さらに水によって媒介される病気を紹介。水道水に含まれる汚染物質、特にトリハロメタンと硝酸性物質が健康に与える問題について解説。

第3章 機能水の展望

農業における電気分解水を用いた病虫害防除
強酸性電解水および強アルカリ性電解水などを用いた様々な農作物栽培(24品目)における病虫害防除の実績例および研究事例を紹介。農薬との混合使用における注意点を指摘するほか、生態系のバランスを考慮したより望ましい病虫害防除のあり方を提案。

電解水の青枯病菌に対する殺菌効果
NFT水耕栽培における電解水使用の際、時間経過にともない循環される電解水に生じる性質の変化を説明。電解水の持つ青枯病菌に対する高い殺菌効果を示す試験結果を報告。さらにトマトの青枯病の防除試験の結果から有効な電解水の利用方法を考察。

各種処理水の植物生育効果
音波、磁場、セラミックスなどが生み出す微弱エネルギーが水の質に変化をもたらすメカニズムを考察。各種処理水の効果をレタスの水耕栽培実験によって検証。さらに作物に含まれる水分を近赤外分光分析法で解析することでその生産地の判別も可能であることを示唆。

環境保全型農業への転換
 ―稲作の収穫量に強電解水がもたらす効果についての実験的研究―
強酸化水と強還元水の持つ特性と実用面での効果を紹介。強電解水の稲作における散布方法、漢方薬との併用方法について説明。事例から強電解水の稲の育成、収穫労力、収穫量における効果を考察。強酸化水と強還元水の交互散布の活用が環境保全型農業に最も近い農業技術であることを推奨。

韓国における強電解水農法
韓国における電解水農法の実際を紹介。電解水による土質改善、種子の消毒、作物栽培における病虫害防除の成果を報告。模範栽培事例を紹介。地域の特性に合わせた強電解水農法の実用・応用に際してのマニュアル化の重要性を指摘。

石英斑岩(麦飯石)処理水の農業への応用
 ―石英斑岩による農薬の処理と培養液の活性化―
石英斑岩(麦飯石)は古来、漢方薬として重用されていることから、その化学組成、放射能特性および理化学性についての分析結果を紹介。農薬を吸着するメカニズムとpH緩衝効果に着目。

電解処理水の生成方法と食品工業への応用
電気処理水の製造方法を紹介。電気分解によって生成される陰極水と陽極水の特性について解説。陰極水の食品工業への利用効果として豆腐・味噌の品質維持、米の吸水率の向上、などの事例を示して解説。また陽極水の利用方法と効果的な殺菌効果、鮮度維持効果について考察。

オゾン水の科学と食品産業への応用
オゾン水の瞬時殺菌効果、安全性、利便性、脱臭・鮮度保持効果など食品加工分野で有効例を紹介。高濃度オゾン水の必要性を説く。食品加工だけでなく農水・畜産業における活用方法を提案。

磁気処理水の防錆・除錆効果と作用機序
防錆効果のメカニズムを例示。また鉄酸化物が磁気処理により凝集・沈殿し、赤水も防止されることを解説。酸化還元反応によって除錆効果も期待できることを試験的に検証。

スケール抑制と防錆効果のメカニズム
磁場によるスケール抑制のメカニズムとして「イオン濃縮」と「正負イオン衝突の増大」を実験的に検討。スケールはスラッジという形で堆積することで抑制され、防錆効果は電磁場処理による電位低下による鉄表面の影響と解説。

エレクトロニクス分野における精密洗浄
酸化性機能水と還元性機能水の洗浄効果の特性、電解水とガス溶解水のクリーン度、3種類の機能水製造法などについて解説。今後のエレクトロニクスの分野における用途拡大と効率的な製造方法の開発の重要性を説く。

電子エコロジーの可能性
電子水の技術と効果を併用した応用例を紹介。環境の保全・改善を可能とする電子物性技術の化学産業およびエネルギー産業への展開を提唱。

高周波還元水の科学と産業への展開
高周波還元水の持つ赤錆の除去と防止効果のメカニズムについて詳述。さらに原子力発電ボイラーにおけるスケール除去、灰のダイオキシン除去、レジオネラ菌抑制、湖沼浄化などへの応用展開を提案。

新しい水の機能と可能性
 ―超臨界水による有機汚染物質分解への応用―
超臨界水による加水分解反応によってフロンが短時間でCO2と無機塩酸に分解されることを反応式で説明。プラスチック廃棄物の分解、土壌中の有機汚染物質の分解など、環境問題への応用を提案。

 

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執筆者

二木鋭雄  東京大学先端科学技術研究センター長教授
大瀧仁志  立命館大学理工学部化学科教授
片岡洋右  法政大学工学部物質化学科教授
江原勝夫  東京工業大学工学部高分子工学科教官
東谷 公  京都大学大学院工学研究科教授
押谷 潤  岡山大学工学部精密応用化学科助手
石川光男  国際基督教大学教養学部理学科教授
西本右子  神奈川大学理学部化学科助手
須貝新太郎 創価大学工学部生物工学科教授
池口雅道  創価大学工学部生物工学科助教授
清水昭夫  創価大学工学部生物工学科講師
佐野 洋  農林水産省食品総合研究所食品物性研究室長
大河内正一 法政大学工学部物質化学科教授
高橋 晋  八戸工業大学大学院機械システム工学専攻
小嶋高良  八戸工業大学機械工学科助教授
高橋燦吉  八戸工業大学大学院機械システム工学専攻主任教授
中西 弘  大阪工業大学工学部土木工学科教授
佐々木健  広島電機大学大学院工学研究科物質工学専攻教授
土井豊彦  森永乳業株式会社装置開発研究所主任研究員
香田 忍  名古屋大学大学院工学研究科物質制御工学専攻助教授
野村浩康  名古屋大学大学院工学研究科物質制御工学専攻
小川俊雄  高知大学名誉教授
八藤 眞  FLI食と生活情報センター長
石島麻美子 神戸大学医学部付属病院麻酔科
加川弘之  旭硝子エンジニアリング株式会社機能商品部主任技師
内藤茂三  愛知県食品工業技術センター応用技術部主任研究員
田代博一  国立大蔵病院消化器科医師
北洞哲治  国立大蔵病院消化器科医長
藤山佳秀  滋賀医科大学第二内科助教授
馬場忠雄  滋賀医科大学第二内科教授
糸川嘉則  京都大学名誉教授
白畑實隆  九州大学大学院生物資源環境科学研究科教授
大久保憲  NTT東海総合病院外科部長
藤田紘一郎 東京医科歯科大学医学部医動物学教授
八巻良和  東京大学農学部付属農場二宮果樹園助教授
松岡孝尚  高知大学農学部暖地農学科教授
小島孝之  佐賀大学農学部生物生産学科教授
河野 弘  高知県立高知農業高等学校教諭
趙 宗來  韓国電解水研究院長
石川勝美  高知大学農学部暖地農学科教授
米安 實  広島文教女子大学短期大学部食物栄養学科教授
西村喜之  神鋼プラント建設株式会社技術部技術開発室長
鈴木雅史  秋田大学工学資源学部電気電子工学科助教授
吉村 昇  秋田大学工学資源学部電気電子工学科学部長教授
永井達夫  株式会社日本製鋼所新規事業推進部課長
山中弘次  オルガノ株式会社総合研究所プラント開発部課長代理
井戸勝富  株式会社電子物性総合研究所長
早川英雄  株式会社環境還元研究所長
山口敏男  福岡大学理学部化学科教授

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