インフォームドコンセント関連書籍
いかに”深刻な診断”を伝えるか 誠実なインフォームド・コンセントのためにチャールズ RK ハインド編 元日本大学医学部教授 ピースハウス病院最高顧問 岡安 大仁 監訳 ピースハウス病院ケースワーカー 高野 和也訳 / A5判上製 196頁 /
税込3150円 / ISBN4-89007-116-4 C3047〔ご注文はこちら〕〔出版案内表紙へ戻る〕
〔インフォームドコンセント関連書籍へ戻る〕「本書は、担当者により若干の差はあるが、患者は何を知りたがっているか、告知の指針を提示して、医療従事者の必読文献となっている。」
「毎日ライフ」 他の書評を読む明確に診断を伝え、悲嘆のプロセスを支える「情報開示」のありかたとは?──「本書は明日からすぐ役立つコミュニケーションの基本を多くの実例を示しながら、実にきめ細かく述べている。医師、ナース、ソーシャルワーカーなど臨床の現場にいる人のみならず、臨床におけるコミュニケーションに関心を持つ人に、是非読んでほしい好著である。」(柏木哲夫 推薦序文より)
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内容詳細
推薦のことば
序章
0-1 理想的な医師
0-2 臨床コミュニケーションスキルの基礎
1 時間
2 準備
3 正直にかつ同情をこめて話す能力
4 他者の感情を見きわめる能力
5 耳を傾ける能力
6 説明する能力
0-3 良い聴き手であること
7 理解する能力
8 患者を気づかう能力
9 一貫性
第1章 周産期脳障害を負った子供の両親への説明
Steven Ryanどんな障害が生じるのか
1-1 周産期脳障害の原因となる後天的な条件
――低酸素性虚血性脳症
――脳室内出血治療の中止を考えるとき
両親は何を知りたがるか?
障害の告知にあたって
1-2 両親は何を医師に望むか
1-3 両親はどのような情報を望むか
1-4 両親はどのような告知を望むか両親の感情的反応を理解する
面談の準備
脳性麻痺について
療育の計画を立てる
より良いコミュニケーション・スキルを身につけるために
1-5 コミュニケーションを促進するために参考文献
第2章 子供の先天性異常を両親に告げる
Steven Ryanはじめに
異常が発見されるのはいつか
両親とはいつ面談すべきか
面談
2-1 コミュニケーションにおいて広く見られる医師の問題点
2-2 望ましいコミュニケーションのあり方
2-3 両親を満足させる告知のあり方
2-4 告知に際しての「規範的なあり方」
2-5 新たに奇形をともなう子供の親となった者に典型的に見られる感情的反応
2-6 両親における感情的反応の現われ方照会先を含めた他の情報源を提示する
その他の情報源
子供の将来のために
退院児の注意点
医師の「トレーニング」のために
(日本国内障害児・者関連団体連絡先)
参考文献
第3章 「乳幼児突然死」に遭遇した家族へのサポート
Barbara M Phillips突然死(cot death)の疫学
3-1 イングランド、ウェールズにおける突然死の発生数
3-2 両親への忠告
3-3 突然死の危険因子突然死の原因に関する最新の学説
悲嘆の過程
3-4 Wordenによる、悲嘆を乗り越えるための課題ケアの実際
――乳児の剖検/検査両親のための設備
知らせを打ち明ける
亡くなった子供と過ごす時間を設ける
――カウンセラー/宗教的サポート
――かたみの品
――帰宅に際して
――連絡の必要な先を確認する
――宗教的慣例に配慮する
3-5 突然死にあたってのチェックリスト
――長期におよぶフォローアップの方法
――スタッフに対するサポート参考文献
第4章 虐待が疑われる子供の両親への対応
Marion Miles虐待の種類
なぜ医師は虐待の可能性について論じたがらないのか?
――両親から子供を離すことに対する恐れ
――訴訟
――秘守
――利害の対立誰が誰とコミュニケーションを行うのか
なぜコミュニケーションの技術が求められるのか
――両親とのコミュニケーション
――子供とのコミュニケーション誰に何を言うのか
何が虐待であるのかについて意見が一致しているか
スキルを学ぶために
参考文献
第5章 子供の脳死
Alastair W Blair
Christopher R Steer5-1 小児科集中治療室での脳死の原因
脳死とはなにか
告知を行なう前に
5-2 子供における脳死についての指針(改訂版)問題と向き合う
事例1
両親が他の症例をもとに疑問を投げかけてきた場合
両親に対して再確認させること
事例2
両親の間で見解が異なる
どのように対応すべきか
5-3 事後の対応長期にわたるサポート
5-4 禁ずべきこと
5-5 まとめ参考文献
第6章 膵嚢胞性線維症の若者への対応
Anthony K Webbはじめに
CFの若者を理解する
――限られた余命
6-1 CFの若者と同世代の者との相違点
――医療上の問題点
6-2 若者CF患者の自己管理タイムスケジュール
――病気についての知識誰がCF患者とコミュニケーションをとるか
6-3 各分野にわたるCFチームのメンバー成人CF患者と話し合っておくべき問題点
6-4 成人CF患者と話し合っておくべき問題点
――小児科的ケアから成人のケアへの移行
――生殖の問題
――自己管理、教育、コンプライアンス
6-5 通院中のCF患者のための情報と指針
――臓器移植
6-6 コンプライアンスを促進する5原則
――CF治療の将来的な見通しコミュニケーションと患者教育のスキルの向上、および成果の評価
――治療者の心得
――患者側の感じ方結論
参考文献
第7章 HIV検査に向けてのカウンセリング
Sheila Moss
Olwen E Wiliams
Charles RK Hind7-1 HIV抗体検査に先立つカウンセリングの目的
なぜ検査をするのか?
HIV検査の場面
――外来患者の検査
――入院患者の検査
7-2 潜在的なHIV感染の徴候としての身体的異常
7-3 患者の同意なしの検査/治療
7-4 検査に先立つ相談のためのチェックリスト
――出生前検査秘守
生命保険
結果を伝える
倫理面の考察
おわりに
(日本国内エイズ関係団体連絡先)
参考文献
第8章 多発性硬化症の患者
Helen L Ford
Michael H Johnson多発性硬化症の診断
精密検査は役に立つか
患者に何を告げるべきか
――診断が確定しない場合
8-1 多発性硬化症の告知として、悪い例
――明確な診断
8-2 多発性硬化症の告知として、悪い例
8-3 多発性硬化症の告知として、悪い例
――診断のもつポジティブな側面診断を伝えるにあたってのガイドライン
8-4 多発性硬化症の人々は何を知りたがっているか?
8-5 多発性硬化症の診断を告知するにあたってのガイドライン我々はどのような情報を与えることができるか?
――多発性硬化症の経過
――患者は就労できるか
――余命
――病因
――妊娠
――遺伝
――自助のための方策参考文献
第9章 ガン患者
Michael Benner9-1 告知とは
9-2 より良い「告知のあり方」がなぜ求められるか
9-3 告知をするときの目標面談に向けての準備
面談を始める
9-4 面談に向けての準備患者の来歴を知り、今後の対策を練る
告知を始める
9-5 告知にあたって患者の反応に対応する
――泣く
――怒り
――沈黙
9-6 告知に対する患者の反応に対応する患者は何を心配しているか
予後について話し合う
9-7 予後について話し合う
9-8 陥りやすい過ち面談の終了
困難な領域
――否認
――近親者との「示しあわせ」
――文化的差異
事例1 子宮頚ガンの若い女性
事例2 肺ガンの中年男性
事例3 転移性前立腺ガンの年配の男性参考文献
第10章 「問題患者」(難しい患者)と向きあう
Sam Smith10-1 統計的にみた問題患者の特徴
問題患者の特質
――異常な疾病行動
――身体化(somatisation)
――人格障害
10-2 人格障害について医師側の問題
事例1 否認という心理的防衛医師・患者の相互関係
10-3 医師の態度社会的な側面と個人的な側面
――社会的な側面
10-4 社会的および個人的な側面
――個人的な側面
事例2 治療を拒絶する患者
――転移と逆転移
事例3 怒鳴り散らす患者
――率直な交流、複雑な交流システム
問題患者を扱うために
――予防的措置……臨床における交流のモニタリング
事例4 抑うつ患者に接する
――関係修復のために
10-5 関係修復のための措置参考文献
第11章 心肺蘇生術の決定に際して
Kevin Stewartこの問題の背景にあるもの
倫理的、道徳的原則
判断力の有無
同意と秘密保持
――治療への同意
――秘密保持DNRの決定を下すための理由
患者とDNRの決定について話し合う必要のある状況
患者とDNRの決定について話し合う必要のない状況
DNRの決定を患者の近親者、友人と話し合う
――患者に判断力のある場合
――患者に判断力のない場合CPRについて患者に話すべきこと
今後の展開
結論
参考文献
第12章 家族の突然死
Jonathan Marrow12-1 成人の突然死の要因
患者の悲しみを理解する努力
遺族と話す場所
どんなに悪い知らせであっても、近親者に伝える
12-2 救急部の設備について悪い知らせを打ち明ける前に確認すべきこと
12-3 遺族と話す前に
事例1 自動車事故遺族もまた自分の患者として扱う
遺族をサポートする看護婦
患者の見通しが悪い場合も正直に伝える
亡くなった患者/死に瀕した患者に、近親者が近寄れるようにする
12-4 死亡した人に引き合わせる
12-5 特殊な問題面談にあたって
――正直であること
――遺族の「診察」として面談を考える
12-6 遺族を前にして
12-7 一般的に見られる家族の反応
事例2 自動車事故
――悪い知らせへの対応
12-8 遺族が必要とする情報
――身体的な接触について宗教的なニーズに対応する
法的手続きに関する援助
12-9 救急部における遺族へのケアについて移植に関する質問に答える
衣服および他の所持品に配慮する
死別に直面した子供への援助
遺族が帰宅した後の援助
12‐10 子供の突然死の主な原因
事例3 肺塞栓症
12-11 遺族に対する事後のケア突然の死別をケアする「スタッフ」への援助
参考文献
第13章 遺族に剖検の許可を求める
Simon J Sherwood
Roger D Start剖検の許可を求めるための訓練の必要性
訓練の内容
13-1 死亡を検死官に報告すべきケース
13‐2 剖検が拒否される理由
13-3 剖検に同意する理由
13-4 剖検の利点――医学にとって
13-5 剖検の利点――遺族にとって
13-6 剖検の利点――社会一般にとって
事例1 遺体の保全
事例2 葬儀
事例3 剖検の必要性剖検の要請について訓練することの利点
コミュニケーションスキルの訓練はどのように行われるか?
コミュニケーションスキルの訓練はいつ行われるべきか?
参考文献
監訳者あとがき〔ご注文はこちら〕〔出版案内表紙へ戻る〕
〔インフォームドコンセント関連書籍へ戻る〕「 医療紛争が増加し、医療現場における情報開示が求められ、インフォームドコンセントの重要性が問題とされる現在、患者・家族とのコミュニケーションのあり方も問われている。医療者が深刻な診断を伝えるスキルは、何十年も経験に頼られてきた。しかし、これは医学教育の過程で教授され、訓練されるべきものである。
本書では、コミュニケーションのスキルが特に重要となる、失敗を犯しやすい場面と症例を多数取り上げどのように関わっていくべきかを明確に述べている。臨床現場の医療従事者だけでなく、臨床におけるコミュニケーションに関心を持つ方にも推奨の良書である。」
「 日刊工業新聞 」