ターミナルケア死生観関連書籍

死を抱きしめる,終末期医療についての書籍の表紙写真











 

死を抱きしめる ミニ・ホスピス八年の歩み 

医学博士  鈴木荘一 著 /B6判並製 206頁 / 
税込1260円 / ISBN4-89007-029-X C0036 

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「……私は、がん末期医療の真髄は、「看取る」という受動的な姿勢からさらに一歩前進して、家族と一緒になって、死に行く患者の身体と心を、しっかりと「抱きしめる」という能動的な情意行動にあるのではないかと考えた。それは、前述した多くの患者さんの家族らが、その態度から私に教えてくださった。

それは人間の肌と肌とが触れ合うことによって心が一つになる。それが医療の原点に立ち帰ったケアではないかと思う。

死は怖いものであるが、その死を抱きしめるほどの姿勢が、医療者に、そして家族になければ、満足した死は完成できないのだという心境に、私は導かれた。そして死も人生の、人類文化の一部だということを確信するようになった。」第三章 死を能動的に より

検索語:ホスピス.終末期医療.告知.死生観.ターミナルケア.緩和ケア.在宅医療.プライマリ・ケア

死を抱きしめる ミニ・ホスピス八年の歩み 

もくじ


第一章 死の臨床に目ざめる

きっかけになった義弟の死

病院側は、日本で最高の臓器治療を提供しているにもかかわらず、精神的ケアをしようとする態度が、医師にもナースにも見られない。多忙なためとはいえ、義弟の「私は騙されているみたいだ」という叫びには、自信をもって返答できなかった。このことは私をも含めて、現代治療に何かが欠けていることを示唆していた。

死を看とる道

第二章 死を看とった人々

ミニ・ホスピスの最初の死
抱き合って眠った終焉の時
孫たちのジングルベル
蝉しぐれを背に
親子の蹉跌を超え
黄色い涙
信仰の仲間も共に看とる
生き甲斐喪失の中で
娘と手と手を絡いで
青年の眼差しのまま
夫婦の時間を慈しみ
自宅で春を待ちつつ
死を乗り越えた夫婦愛
別れの曲
「死んだら献体してください」

第三章 看とるケアから抱きしめるケアへ

死を抱きしめる
ライフ・レビューの大切さ

私は、がん患者を診る時、いつも、その人の生い立ちや、人生観、家庭環境や職場環境、さらには文化環境についても情報を集めるように努力している。上智大学アルフォンス・デーケン教授の提言されたライフ・レビューは、がん患者のケアに極めて役立つ方法である。私のようにプライマリ・ケアを担う実地医家の多くは医師・患者さんとの信頼関係が築かれていることが多く、かつ情報を得やすい立場にいるので、患者さんや家族の”人間”をよく知ることができる。

死を能動的に

 

第四章 ミニ・ホスピス八年の歩み

在宅か病院か
形態よりケアをする心とシステム
歩みを顧みて

第五章 がん告知と患者の心理

がん告知について
がんを告知できる時

がん告知の当否は、医者が最新の臓器診断や治療技術を駆使する以上のエネルギーをもって、患者の、家族の心の懐に飛び込み、何を求めているか、その心を知ることから、医者の決断が生まれるのだと思う。家族から患者に告知する場合でも、どのようにすれば悔いが残らないか、家族間の深い交流が選択を決めるのだともいえよう。日ごろから有限である人間の命や、老いや死について成熟していく学習態度が、医師や看護婦のみならず、すべての人々に求められているのだと思う。

ノンバーバル・コミュニケーション

第六章 日本の心・西洋の心

気候と精神風土
西洋の心
日本の心
ふたたび西洋の死の歴史

第七章 患者・家族を中心としたケア・システム

患者が望む在宅での死
必要な地域医療機関との連携
在宅ケアを支援する制度を

第八章 がん患者の家族のために

人間の医学
医師から患者家族に望むこと

現代社会は、死を病院に閉じこめようとしている。特にがん末期患者は白い壁の中で、ひとりで死んで行く。死を忘れた人間は、己の死を迎えるまで、死に立会う機会が与えられず、死を学ぶ時を得られない。死を看とり、抱きしめることによって、生命が何よりも貴いことを教えられ、悔いなく、健やかに生きる意欲が育てられるのである。臨死の床は、現代が忘れている死の教育の絶好の場所であり、機会である。死に立会うことによって生の貴さを私たちは学ぶことができるのだと思う。

ヒューマン・ケア・プログラム 

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