ストレンジャー・デンジャー・プロジェクト――「変質者の罠」から子どもを守るために
子どもが犠牲になる事件が、新聞・雑誌・TVなどメディアにのらない日がありません。この3、4年の間におきたショッキングな事件以来、教育機関や自治体、民間企業では、防犯ブザーの頒布やメールによる不審者情報の配信、サテライトを使った子どもの居場所確認装置の販売など、ハード面の強化を推進してきています。
しかし、みなさんの中にある「親の責任、だけどどうしたらいいんだろう」「大人は子どもに何を伝え、どうすべきなんだろう」という不安は払拭されているでしょうか?
実際には、多くの親さらには教育者でさえも、この問題について、子どもとなかなか話をしたがりません。だからといって何も知らないまま、子どもを犯罪者の標的にしてしまうことはさけなければいけません。「子どもを動揺させたくない」「自分の子どもにおこるはずがない」というのは建て前であり、それでは加害者たちの思うツボなのです。
私たち「ストレンジャー・デンジャー・プロジェクト」は、幼い子どもを持ち不安や危機感をいだく母親の声を多数耳にし、どうしたらいいのかをこれまで考えてきました。そして「教育こそ最良の予防策」であるという結論に達し、学習ツールとしてDVDを作成し、保護者、教育・保育に携わる方を対象に上映学習会を開催しています。
このDVDでは、変質者の手口の実例を見ながら、狙われやすい場所やシチュエーションを把握し、その上で、子どもの持ち物、情報管理の方法や、緊急を装った誘拐への対処について学びます。さらに、予防策として、自分の子どもは狙われやすいのかどうかを判断する方法や家庭でできる防犯など具体的に学ぶことができます。
子どもに「社会に対して恐れを抱かせることなく、身を守るための方法」を教えるには、私たち大人自身が問題を直視し、「情報」と「戦略」を身につけることが必要です。さらに、「危機感を共有し、対話の場を作り、支え合う」という「地域づくり」が大きなカギとなります。