『あなたたちは「希望」である―ダウン症と生きる』ダウン症児の教育関係の本

あなたたちは「希望」である

-ダウン症と生きる-

丹羽淑子 著 / 四六判上製 443頁/
税込
100円 / ISBN4-89007-153-9 C0036 

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ダウン症告知後の苦しむ心を助けたい」「目をそらさず子どもと向き合ってもらいたい」と、ダウン症発達相談を20年余り続けてきた著者。13人のお母さんがたの繊細で力強い証言のほか、障害の有無にかかわらず、子どもの心を育てるために重要な、乳児期の意味について具体的に紹介!!

黒柳徹子さ推薦!
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この本と出逢えたことを本当に感謝しています。
「一人ひとりの子どもが大きくなって、生まれてきて良かったと思えるように・・・」
と願って、子どもの成長を見守ってこられた丹羽先生、ご家族、
そして周りの人々のチームワークに感動しました。
ハンディをもつ子どものお母さんや子育てに悩んでいるお母さんだけでなく、
若い方に、ぜひ、この本を読んで、生きることの素晴らしさを知っていただきたいです。
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あなたたちは「希望」である―ダウン症と生きる  目次

 

はじめに

花クリニック母子発達相談の20年

トリアロ ーグ(三人対話)/試行錯誤の時代/明らかになったダウン症児の特徴
「発達・臨床」という考え方/相談内容の広がり花クリニックでの仕事を終えて

私に何ができるだろう……。母親の相談相手になって、告知後の衝撃に苦しむ母親の心を助けたい。そのために、「母-セラピスト」という関係でカウンセリングをセッテングするのではなく、「母-子-セラピスト」という三者関係でいこうと考えた。

子どもから目をそらさず、子どもに向き合う姿勢を、お母さんたちにもってもらいたい。そのために、乳児の行動の意味を語ろう。情緒や認知の発達について、身体運動能力の発達について、お母さんと一緒に子どもの発達を観察しながら、成長する様子を喜びあうことができるだろう。わが子のしていることの意味がわかることは、お母さんにとって、新しい喜びと励ましになると考えたのだ。

トリアロ ーグ(三人対話)より

 

第一章 「ありのまま」を受け入れる

ハワイの宵の記憶
ことの始まり
マクガイア・メモリアルホームに真理佐を訪ねる
マクガイア・ホームの療育
私の参与観察
3歳半の黒人女児の握りまくら
メンタルヘルス・メンタル・リターデイションセンター訪問
成人のグループホーム―社会的自立を目指す
地域社会へのノーマライゼーションプログラム
決心から実行へ
空の上でのプランニング
忘れがたい日
「花クリニック」―矢花芙美子先生との出会い 
「こやぎの会」パンフレット出版

 

  第二章 あなたたちは「希望」である―13人のお母さんたちの証言

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教えないで引き出す

鳥井 恭子(とりい きょうこ)さん/鳥井 葦(とりい かな)さん
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私の最後の仕事
葦によって与えられた人との交わり
乗馬クラブへ就職する兄
自分で考える習慣
学校の選択と先生との出会い
教えないで引き出す―「さをり」との出会い
「さをり」の色が教えた子どもの成長
叱らなければならないこと、
叱ってはならないこと
お金の使わせ方―試行錯誤の末に家事の手伝いと家族への心くばり
これからの課題―強く願えば叶うと信じて
きょうだいに願うこと
新しい展開と成長を求めながら
就学の時に考えたこと


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小さなきざしと可能性を見つめながら


石川法子(いしかわ のりこ)さん/石川英太(いしかわ えいた)さん
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「花クリニック」との出会い
誕生と告知
英太が家庭の「中心」に
長かったハイハイの時期
聾学校入学の決断
作業所と地域の暮らし
花開いた能力―アトリエ・エレマン・プレザンでの絵との出会い
心の中を絵に表す
まわりとの積極的なつき合い
健康であったことの幸せ
これからの課題―時間を理解して行動する
小さなきざしと可能性を見つめながら


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それぞれの子どもにふさわしい時期がある


 池畠秀子(いけはた ひでこ)さん/池畠幸枝(いけはた さちえ)さん
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「おもしろさ」が身につける「集中力」
「ゴマ・クッキーは池畠幸枝担当」
それぞれの子どもにふさわしい時期がある
ひと足先を行く真理佐
小学校六年間の普通学級での体験
中学校で特殊学級に
ダイエットの指導
障害について話すべきか
将来の夢―自立願望
神様のお勉強
作業所「のぞみ園」
母のボランティア活動
「大きくなっても小児科」という問題
きょうだいの気持ち―さみしさが方向づけたもの

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「お父さん、ありがとう」 


大沼美子(おおぬま よしこ)さん/大沼一生(おおぬま かずお)さん
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突然の夫の死
中学からは施設に
理解できるが、話すことが難しい
極限まで行った時に出る言葉
「お父さん、ありがとう」
「イエス」「ノー」で答えられる質問を
思春期はやってくる
「二人の生活を大切に。 そこに一生(かずお)を交えよう」
「あなたは社会のために、お勤めしなさい」

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「母親の手の温もりを子どもに伝えなさい」


橋本留美子(はしもと るみこ)さん/橋本さやか(はしもと さやか)さん
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子どもに育てられた
普通の子に許されないことは、この子にも許されない
身についた社会性― 一人で行動する
「大人になった時に、社会人として生きられるように」
夫婦の不和の影響
姉弟の関わりが育むもの
「お母さんは、普通のお母さんと違う」
九つまでに身につけさせる
「基本的生活習慣」
「結婚したい」という気持ち
「ことあるごとに話しかけなさい」
悲しみが通り過ぎるのを待った日々

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「お母さん、頑張るんだよ。ぼくも頑張るから」

高橋和子(たかはし かずこ)さん/高橋通雄(たかはし みちお)さん
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「今月もがんばりました」
娘を亡くした辛さから
「こんな子いらない」
普通学級からすぐ特殊学級に
止めるに止められなかった
趣味が支えに
配慮を欠いた告知で受けたショック
明るく積極的な性格―学校では何でも立候補
自立の問題

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「天真爛漫な明るさが周囲を幸せにしてくれます」


橋本公子(はしもと きみこ)さん/橋本文恵(はしもと ふみえ)さん
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食事以外は自分の部屋で
まわりが期待した初めての子ども
4回の手術に耐えて
卒業後も続く、小学校の先生とのお付き合い
天真爛漫な明るさが周囲を幸せに
「メンストレーション(月経)」について
公的サービス
言葉が出ない子ども
家はにぎやかな万年幼稚園

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「みんなと同じことがしたい」


檜垣峯子(ひがき みねこ)さん/檜垣俊彦(ひがき としひこ)さん
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「この子は福児だから大切に育てなさい」
親子で楽しんだ幼稚園生活
普通学級への就学と友だちの力
思春期に助けられたプロのサポート
対等な仲間を求め地域の特殊学級へ
剣道「二段」に
「ストレス」でめまい

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「普通の人々の中で、 一つ一つ考えればいい」


矢萩芳子(やはぎ よしこ)さん/矢萩竜太郎(やはぎ りゅうたろう)さん
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自分で発見し、自分で獲得する場を
「いじめ」もあった小学校時代
いい先生との出会い―中学校普通学級
定時制高校卒業の日
ダンスと芝居との出会い

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一人ではできなくても二人でなら育てられる


宮原雅子(みやはら まさこ)さん/宮原陽子(みやはら ようこ)さん
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「あれ、この子だれに似ているのかな」
漠然とした不安
先が読めて落ち着く
「誰かが持っていくなら、持っていってもいい」
保父の道を選んだ兄
一人で電車通学
できることを一つでも
あたり前なことをあたり前に続ける
目立つのが好き
「落ち着きがない」のには理由がある
何か打ち込めるものを
「おそうじをします」
「家庭が基本」

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「うちの子のように育っていくといいな」


山岸 まり(やまぎし まり)さん/山岸 央(やまぎし ひさし)さん
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「希望」がもてる情報の必要性
「私にとって『仕事』は精神安定剤でした」
弟にライバル意識
「交わる」ことが偏見をなくす
「知的さ」より社会性
自然に「障害のある子がいます」と言える
「普通のお兄ちゃんもいたらいいな」
「響き合う」間柄が相手の心を打つ
「子離れ」―いつ「決別」するか
「彼の人生は彼のもの。私の人生は私のもの」

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「ダウン症だからこそ面白い」


与那嶺恵美(よなみね えみ)さん/与那嶺大輔(よなみね だいすけ)さん
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食事が基本
「ボク全然お勉強がわかんないし、おもしろくない」
「言葉の暴力はいけません!」
書くことが好き
「ダウン症だからこそ面白い」
発達には細かいステップがある
さみしさに耐えた姉
健康に恵まれた日々

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「この子も大事な一人の子ども」

渡辺宣子(わたなべ のぶこ)さん/渡辺信一(わたなべ しんいち)さん
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ものごとには「頃合い」がある
「信ちゃんの笑顔は素晴らしい」
就職の準備教育―二つの実習
「もう、この人だめかな」
あるがままの姿を受け入れる
「この子には、この子の人生がある」
気づかなかった娘のチック症
「バカ」って言わないで
親と教師のコミュニケーション
「和太鼓」で自信をつける

 

第三章 すべてのお母さんたちへ

 
◆乳児期の意味

I  コミュニケーション能力を育てる

   1 「言葉」の芽生えにそなえて

    ●非言語のコミュニケーション―信号の時代
    ●クーイング―言葉への第一歩

   2 「三ヵ月の微笑」―対話の始まり 

    ●「微笑」のおとずれ
    ●対話の始まり

   3 「人みしり」の現われる前に

    ●できるだけ声を出させる
    ●「スマイル」から「笑い」へ

II  信頼感を育てる

   4 人みしり―愛の対象を見分ける時

    ●人に対する反応の変化
    ●「八ヵ月の不安」
    ●人みしりの謎解き

   5 「母の不在」がもたらすもの

    ●「分離不安」《Kちゃんのケース》

III  ポジティブな情緒を育てる

   6 「情緒」はすべての発達の導き手である

    ●「喜び」「楽しみ」の効用

   7 人の心を察する力

    ●母の悲嘆を慰める《T君のケース》
    ●ポジティブな情緒の火をともす《夏ちゃんのケース》

IV  意欲・好奇心を育てる

   8 手の発見―好奇心の芽生え

    ●無生物への関心
    ●そっと見守る《K君のケース》

   9 歩ける前の大事な仕事1 「ハイハイ」のすすめ

    ●「直立歩行」ができるまで
    ●歩ける前にハイハイをしっかり

   10 歩ける前の大事な仕事2 お座りの時期

    ●手指操作の発達
    ●認知能力の発達
    ●《すみえちゃんのパフォーマンスに思う》
    ●「学習」の喜び

V  モラル感覚を育てる

   11 ヨチヨチ歩きのころ―自我の目覚め

    ●「歩ける」ことは「誇り」である
    ●子どもの個性化
    ●自我の目覚め

    12 「マターナル・レファレンシング」(母親参照)

    ●「モラル感覚」とは
    ●「まなざし」で問いかける
    ●確認のための拠りどころ
    ●行為の意味

   13 「禁止令」と「ほめ言葉」―モラル感覚を育てる二つの経路

    ●「葛藤」がキーワード
    ●初めてのモラル感覚―「ふちの欠けた象牙のハンコ」
    《初めての抵抗》
    《解説》

   14 3歳児は小さな大人―約束を守ること

    ●3歳児―この魅力的存在
    《「まとまり」が認められる》
    《「約束」を守ること》
    ●「ダウン症」の3歳児―Y君の遊戯観察
    ◇ある日のプレイルームでの行動観察

 

むすびに   働くお母さんたちへ 共同体の中での子育て

謝辞(おわりに)   感謝とよろこびの人生―執筆を終えて